
注文住宅を建てる際、機能性は重要な項目です。とくに地震が多い日本では、耐震性能に注目しましょう。近年では、多くの住宅メーカーで耐震等級3の住宅が建てられています。そのため、耐震等級3の機能性について理解が必要です。本記事では、耐震等級3がどの程度の地震に耐えられるか具体的に解説しています。
耐震等級3とは
耐震等級とは、耐震性能を示す指標です。レベルが1〜3まで存在し、3は最も高機能です。大地震に耐えられるので、いざというときに家族を守ることができます。ここでは、耐震等級3について具体的に解説します。耐震等級1~3の違い
耐震等級は1~3まであり、それぞれの性能が異なります。一番低い耐震等級1は、震度5強クラスで損傷しないレベルです。しかし、震度7クラスが発生した場合、修繕や住みかえが必要になります。次に耐震等級2は、耐震等級1より1.25倍丈夫です。震度7クラスの地震が発生しても、修繕を行うことで住み続けられます。長く安心して住める、長期優良住宅に求められる基準です。
そして耐震等級3は、消防署や警察署と同等レベルになります。震度7クラスが発生しても、簡単な補修で済むので安心です。近年は頻繁に大地震が発生するため、耐震等級3を選ぶ価値が高まっています。
耐震等級3のメリット
耐震等級3の住宅を建てることには、主に3つのメリットがあります。1つめは、地震保険の割引です。地震保険は被害が少ないことが前提となるので、サービスされているのです。割引率は保険会社によって異なりますが、通常より10~50%軽減できます。長期的な資金繰りを考えると、メリットを大きく感じることでしょう。
2つめに、住宅ローンの金利優遇です。フラット35の金利が安くなるので、大きな金額を節約できます。これにより、若い世代でも住宅を購入しやすくなるでしょう。
3つめに、売却しやすい条件です。耐震等級は、国から認定されているため大きな価値となります。売却時は、他の物件と差別化できるうえ、高額で売れる可能性があります。
耐震等級3を導入するには
耐震等級の導入には、評価機関に依頼して認定を受けることが必要です。評価では設計図を確認し、施工中と完成後に現地検査を行います。現地検査は複数回実施されるため、厳しい評価がされます。全てクリアすると住宅性能評価書が発行され、初めて耐震等級が決まるのです。また、評価依頼費用に10〜20万円程度が必要です。さらに、住宅メーカーなどにも設計費用20~40万円がかかります。そして、耐震等級を考慮する場合、設計の段階から計画するので注意が必要です。
耐震等級3の家はどれくらい丈夫なの?
ここでは、熊本地震に遭遇した耐震等級3の住宅について解説します。リアルな被害から、耐震等級の重要性を理解できることでしょう。熊本地震
2016年の熊本地震では、震度7の揺れが2回発生しました。その後、震度5~6が立て続けに発生し、建築物の被害は甚大です。木造建築は297棟が倒壊し、多くは旧耐震基準にあたります。旧耐震基準では、震度5までの耐震性能です。1,950~1,981年に適用されており、震度7クラスは想定されていません。しかし、現代の耐震基準であれば、震度7クラスに耐えることができました。
耐震等級3の住宅は、倒壊数0で損傷もありませんでした。また、耐震等級1の住宅は19棟倒壊したことから、大地震に備えるには耐震等級2~3が必要なことがわかります。
繰り返す揺れに強い
熊本地震の特徴は、激しく続く余震です。また、震度7が2回発生する稀なケースでした。しかし、その中で耐震等級3の住宅は倒壊せず、繰り返しの衝撃に耐えたことになります。これにより、強い揺れによる衝撃を複数回受けても、問題なく住めることが証明されました。耐震性アップのためのポイント
近年では、大地震が頻発しています。そのため、注文住宅には充分な対策を行いましょう。ここでは、耐震性を上げるための工夫を紹介します。耐力壁を多用する
耐力壁は、横揺れの耐久性を強化します。多く使用するほど効果があるので、枚数にこだわりましょう。また、全体にバランスよく配置することも重要です。建具や窓が付いている面は、設置できないので注意しましょう。そうすることで、地震に加えて台風にも強い住宅になります。なお、九州は高確率で台風被害にあうので対策がより必要です。